夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)



夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)
夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)

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阿久悠ならではの当事者ドキュメント

 章立ては時系列ではないが、GSブームから、ナベプロ・日テレ戦争、スター誕生の時代、ピンク・レディーブームまでを、“主観のドキュメント”、“ワン・カメラのドキュメントとして書いたもの”。まさに“ナベプロ帝国斜陽化以降の歌謡界をワンカメで押さえることが出来るのはこの人だけ”っていう阿久悠ならではの当事者ドキュメントである。
 1992年夏、バルセロナ・オリンピックでアイドルとなった岩崎恭子と、かつてのアイドルで当時統一教会の広告塔として叩かれまくっっていた桜田淳子の対比が導入部となっている。あの時点からですら、すでに15年近くが経過していることに唖然とし、“歌謡曲の時代”あるいは“昭和”というものがすでにとっくに終焉を迎えた存在であることにあらためて気付かされる。
 阿久悠は書く。「1970年代には、まだサクセスという言葉が、光り輝く幻想としてあった」「1980年代も半ばを過ぎると、サクセスは幻想でなくなり、計画にすぎなくなる」。確かにその通りだろう。現在がその延長線上にあることも。ただ、サクセス幻想とかヒーロー願望は人々の心の底に燻ぶっていて、オウムとかヒルズ族とか、歪んだ形で表出する。大体、大衆から分衆、小衆の時代、あるいは大きな物語から小さな物語の時代なんて言うけど、ほんとに、そんな進化論的に、時代は変節したんだろうか。特に、それはGSもスタ誕もPLも知らない平成の子供たちに問いかけてみたいし、そういうことでは「懐かしむつもりはない。情熱とか狂気とかが、何故か日常的に存在し、それが夢につながっていた時代は、検証の価値がある」という本書の意味は、初版出版後10数年経った今でも変わらないのかもしれない。



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